2020年の旅納めは三重県紀北と菰野町

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コロナ禍で明け暮れた2020年も残すところあと僅か。国や地域ごとの大きな禍いは毎年どこかで起こるものですが、今回の禍いは地球全体で人類が一斉に巻き込まれた有史以来初めての大きなものだったような気がします。思えば、去年の年末に武漢で発生した頃は、対岸の火事のごとく我々には関係のない騒ぎだと思っていたけれど、今年の春先から「日常」が「常」ではなくなり始めました。4月〜5月の緊急事態宣言発令中は在宅勤務&一時帰休とワタシの生活も大きく変わりました。

そんな制約の多い2020年でしたが、ワタシは感染防止に最大限配慮しながら、旅行だけは今年も大いに楽しみました。今年最後の投稿は、先日訪れた三重県の紀北〜菰野の旅レポをお届けします。


三重県東部の伊勢志摩は宇陀から比較的近いこともありよく訪れるのですが、今回の旅はもう少し足をのばして紀北町で一泊することにしました。

<道の駅 飯高駅>

まずは国道166号で高見山を超えて「道の駅 飯高駅」で朝風呂&ランチ。飯高駅は全国に道の駅ができる前から鉄道駅ではないのに「駅」を名乗っていたので「道の駅 飯高」ではなく「道の駅 飯高駅」となったようです。1000年以上も前にこの地方を統治していた飯高氏が都と地方を結ぶ交通・通信手段を維持するため駅制を敷いて「飯高駅」としたのが始まりで、その当時にちなんでこの地域特産品販売所を「飯高駅」としたそうです。なので、ここは『元祖 道の駅』といったところでしょうか。

飯高駅内には「いいたかの湯」という温泉施設があります。源泉は本格的な天然の炭酸泉で、午前中から地元の人達で賑わいます。こちらの温泉は「伊賀・大和・松阪 御湯印めぐり」対象温泉のひとつで、参加7湯を全て巡った温泉好きのワタシ達は満願特典として「いいたかの湯」に来年3月まで半額の330円で入浴できるのであります(銭湯より安い!!)。上の風景写真は11月に訪れた際に撮影したもので、今回はランチだけ写真に収めました。食事処も地元の食材をうまく使った美味しい味付けなのでオススメの道の駅です。

<瀧原宮(たきはらのみや)>

今回、紀北で宿をとったものの道中に特にこれといった観光施設などが無いなぁと思いながら事前にGoogleMapを探したところ、目に留まった『皇大神宮別宮 瀧原宮』の文字。『皇大神宮』とはかの伊勢神宮内宮のこと。その別宮が内宮の敷地内に点在するのは知っていましたが、こんなに離れた場所にもある事は知りませんでした。と言う事で、宿に入る前に瀧原宮へ行く事にしました。

国道42号線沿いの「道の駅 奥伊勢木つつき舘」に車を駐めて(隣に参拝者用駐車場が有りますが、1時間以内であれば道の駅にも駐車可能でガラ空きだったので道の駅に駐車)少し歩くと参道への鳥居がが見えてきます。

鳥居をくぐれば杉の巨木が立ち並び、伊勢神宮の内宮と同様に『The 聖域』の雰囲気です。ただ、異なるのは人影がほとんど無いということ。人が少ない分、静寂に包まれており厳かな雰囲気が倍増されていました。内宮は横に五十鈴川が流れておりそちらで身を浄める御手洗場(みたらしば)が有名ですが、瀧原宮の横にも頓登川(とんどがわ)が流れていて御手洗場があります。頓登川は流れが穏やかで日光が射さなければ水が流れている事に気づかないほど透明で静かです。

御手洗場で手を浄めたあと更に少し参道を歩くと拝殿が見えてきます。こちらも伊勢神宮の本宮に準じて式年造替が行われるようで、殿舎の横は広い空間がぽっかりと空いていました。

こちらには瀧原宮だけではなく同じく皇大神宮の別宮である瀧原竝宮(たきはらのならびのみや)も横に並んで鎮座しています。神道に詳しくないのでよく知らなかったのですが、神には災いを引き起こす荒々しい側面があり、それを『荒魂(あらみたま)』というそうで、天照大神の荒魂を祀っているのが瀧原竝宮であるとのことでした。上の写真の向かって右側が瀧原宮で左側が瀧原竝宮でそれぞれのお宮に魂が祭られてあります。
慣例に従って先に瀧原宮、続いて瀧原竝宮を参拝しました。

参拝後は車を駐めた「奥伊勢木つつき舘」に立ち寄ってお土産を購入。こちらは、その名の通り木材を使った工芸品などがたくさん販売されていました。十二支を形取った木彫りの起き上がり小法師が売られていたので、戌年の母と酉年の姉に各々買って帰りました。どちらも愛嬌があって倒そうとしてもクルンと起き上がる可愛いヤツです。

<ホテル季の座(ときのざ)>

今回のお宿は「きほく千年温泉 ホテル季の座」でした。

こちらのホテルのツインルームはベランダの部分が露天風呂になっています。共同大浴場の露天風呂は眺望が海ですが、こちらは庭を眺めながらの入浴となります。泉質はナトリウム塩化物泉で大浴場と同じクセのない天然温泉が蛇口をひねると出てくるので、必要分を湯船に入れて入浴する仕組みです。ワタシは夕食後に月を眺めながらゆっくり入浴しました。

コロナ禍の中、今やどちらの宿泊施設でも感染防止で色々と工夫されているようですが、こちらのホテルの食事の特徴はプリフィックススタイルです。『プリフィックススタイル』ってあまり聞き慣れない言葉ですが、一部選択肢のあるコース料理を指すスタイルのようです。夕食は魚介の舟盛りがその選択肢となっています。この日は伊勢海老、烏賊、真珠貝の3種類は最初に決められていて、その他数種類の中から予め選んだ2種類が盛られて出てきました。我々はカンパチと真鯛を選択。特にカンパチは適度に脂が乗っていてプリップリでとても美味しかったです。

また、朝食は特産品の色々な種類の干物がバイキングで選べるようになっており、選んだ干物を各自が備長炭で炙りながら食べるようになっていました。サメやタチウオなど、あまり干物として食べたことのない魚もあり、炙りたての熱々の干物を美味しくいただきました。

<パラミタミュージアム>

翌日は宿近くの道の駅で海産物を土産に買ったあと、紀勢自動車道〜伊勢自動車道〜東名阪自動車道を使って三重県を北上し菰野町にある「パラミタミュージアム」へ行きました。こちらのミュージアムは池田満寿男氏の陶彫を中心にした常設展と期間限定の企画展を両輪にして展覧会を開催されています。

12月〜1月の企画展は『フランス・モダン・ポスター展』と銘打って、ベル・エポックと呼ばれる時代(18世紀後半〜19世紀前半のパリ万博前後)にフランスで描かれたポスターが展示されていました。ある意味、最も華やかな時代だったであろう活気に満ちたパリの雰囲気が伝わってくる面白い展覧会でした。

フラッシュを使わなければ撮影OKとのことだったので、撮影した会場の様子と作品をいくつかご紹介します。

展示されているポスターはロートレックによるキャバレーのポスターから作者不詳の商品広告のポスターまで多種多様です。

第一次世界大戦を境にしてアール・ヌーヴォーからアール・デコへとポスターのデザイン様式も変化してゆきます。それはパリジャンの美意識の変化でも有りました。広告を通してその時代の人々は何を見つめていたのか?、広告は芸術とどのように関わってきたのか? などなど、色々と思いを馳せることのできる興味深い企画展でありました。

パラミタミュージアムで感性を刺激した後は、このブログで以前にも紹介したことのある大好きな片岡温泉アクアイグニスで入浴して帰路につきました。


今年はコロナ禍で環境が大きく変わりました。それでもいろんなところに旅をしました。旅行関係者支援のGotoトラベルはいまだに賛否両論ありますが、旅行業に関わる皆さんにとっても、旅好きのワタシにとっても嬉しい施策でした。

しかし、年末年始にかけて政府はGotoトラベル事業を一時停止の決定を下しました。ワタシも年明けに予定していた九州への旅行を止む無く政府の方針に従いキャンセルしました。旅行とコロナの因果関係の判断については疑問な点も多い。しかし、人の移動による感染リスクの拡大は無いとは言い切れません。理論上みんなが旅行先で徹底した感染防止策をとっていれば全く問題ないはずですが、それは不可能なのでしょう。

今年訪れた各地の宿泊先や観光施設で働く人々と同様、先日の紀北のホテルでも外国人スタッフが笑顔で一生懸命に対応してくれました。

旅先で人と触れ合う事が感染リスクになるという事実は悲しい事です。来年は今まで通り、気兼ねなく楽しい旅行ができる日が一日も早く訪れる事を願っています。

〜 今年も一年、このブログにお付き合いいただき有難うございました 〜

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