2020年春 宇陀の桜 その2

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前回に続き、今回は少し遅めに開花する宇陀の桜の名所を2箇所ご紹介します。

<内牧区民の森>

「内牧区民の森」は今から20年ほど前、台風で杉や檜の大木が壊滅的な被害に遭ったため、地元の皆さんがソメイヨシノの苗木を植樹し見事に復活させた景観の素晴らしい森です。標高570m程なので開花時期も周辺の桜より例年1週間ほど遅めとなります。

展望台からは桜の絨毯の上に山々が見渡せて絶景が拡がります。

森の裾には嶽神社の小さなお宮が鎮座しています。桜に囲まれて鳥居の朱色が映えます。

<佛隆寺>

以前にも何度かこのブログでご紹介している佛隆寺の千年桜ですが、最近はテレビの桜中継で紹介されるなど徐々にメジャーになってきました。例年桜祭りが催されるのですがコロナの影響でご多分に漏れず今年はイベント中止でした。

高井の集落を抜けて山間を縫って登ってゆくと、棚田の向こうに千年桜が見えてきます。

樹齢900年以上の古木は国の天然記念物に指定されている学術上も珍しい(山桜とエドヒガンの亜種)貴重な桜だそうです。

千年桜ばかりに目が行きがちですが、周りの景色や境内も見所満載です。アーチ上に桜が覆う197段の石段を登ると佛隆寺境内です。敷地内には樹齢約450年の長十郎梨の原木も白い花を咲かせていました。

佛隆寺は空海の高弟である堅恵が創建されたと伝えられています。空海が唐から戻った際に持ち帰った茶を堅恵が栽培したので、このお寺は「大和茶発祥の地」ともいわれています。堂内には弘法大師が唐から持ち帰ったと伝えられている茶臼があるそうです。本堂裏の奥手にある堅恵が入定した石室や、鎌倉末期に作られた十三重石塔が往時を偲ばせます。

再び千年桜の根元に目を移すと、やはり年を重ねた分の傷みは避けられないようです。今後もしっかり人間がケアしないとダメなんでしょうが、時間を超越して花を咲かせ続ける生命力に神秘を感じずにはいられません。過去にも様々な疫病、天災、戦争などをくぐり抜けて生き続けた老桜の下で、早く平和な日常が戻ることを祈って帰路についた60おとこでした。

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